経営計画書を作る意味って、何なのでしょうか。
意味があるのでしょうか。
今回は、そんなお話。
経営とは何か
経営とは何か。私は、ピーター・ドラッガーの「経営とは、人を通じて物事を達成する業」というものが最もしっくりくる表現です。
ビジネスモデルや数字、ヒト・モノ・カネなど、経営に関するものは多岐に渡りますが、基本的に人が行うから、というのが理由です。
そう考えると、経営においては「人」を動かす、「人」に動いてもらうということが大切になってきます。
自分を含め、社員やお客様、利害関係者などの「人」を動かす・「人」に動いてもらうために「素晴らしい未来の姿」を描くことが、経営者の仕事と言えるのではないでしょうか。
そして、「素晴らしい未来の姿」を描こうとすると、緊急性・重要性のマトリクスや中長期的思考を持つことが必要となります。
どうしても日々の仕事に追われてしまう、ついつい社員に任せずに自分でやってしまう。こうなってしまうと中長期的思考を持つことや、中長期的思考に立って未来を描く時間が取れない、ということが起こってしまいます。
そう考えると、やはり「人」にどう動いてもらうか、ということがとても重要だと言えるでしょう。
経営計画書は社長の戦略(未来)を示したもの
経営計画書作成の真の目的は、素晴らしい未来を描くために、今何をしなければいけないのかを決定することです。
そして、今何をしなければならないかを決定することで、人(社員)も今何をしなければならないかがわかります。社員が何をしなければならないかがわかる、という状況はとても大事です。わからないということは、社長=会社がどこに向かおうとしているのかがわからない、社長が何を考えているのかわからない、ということになります。
この状況が続くと、「社長が何を考えているのかわからない」「わからないから言われたとおりにしておこう」となり、社員が社長の指示まち状態になります。
初めてつくるときには、はじめから出来の良いものを作成しようとしない方が良いです。というのも、はじめから出来の良いものを作成しようとすると、作ること自体が目的になってしまいがちです。そうなると、長く複雑なものとなってしまい、途中で挫折する可能性が高まります。
作る過程で得られる気づきや成長もあるので、まずはとにかく作ってみることです。とにかく作って運営しながら改良させていきましょう。
数値計画(売上や利益)も大事ですが、この部分は作れる人がいます。銀行員や税理士などは、これまでの実績数値や業界動向・業界特性に基づいて作成することができます。作った計画数値に理由をつけることもできます。ただし、社長以外には作れない、正確にいうと社長の想いや考えを、社長の言葉で載せたものを作ることはできません。
経営計画書をつくる意味
経営計画書は、考えることや作成するだけで大きな意味があります。
例えば、視座を高めたり、足りないことが見えるようになります。また、方向性がクリアになり、事業の方針が見える化されることで、社内外に大きな安心感を与えることができます。
会社の未来の姿は社長の頭の中にある、心の中にある、という状態に留まっていては、社員がそれを理解できません。見えないからです。見えないから不安になります。
社長がどの方向に進もうと思っているのか見えない、どんなことを考えているのかが見えない会社とそうでない会社、どちらの方が社員は安心して働くことができるのか。明確ですよね。
かくいう私も、自分の経営計画書を作りました。まずは一旦作りました。まずはとにかく作ろうということで、一旦完成させました。銀行にいたときにさまざまな経営計画書を見てきましたし、どんな内容がどのような流れで描かれているかもわかります。
ネットにはテンプレートもあります。そのテンプレートを埋めれば完成します。いわゆる「体裁のいい経営計画書」です。そんな計画書であれば作れるんです。
でも、そうじゃないんです。
自分が思い描く未来。自分が実現したい想い。その想いを構成するものは何か。それはどうやれば作ることができるのか。どう行動すればよいのか。
もうそれは頭を捻って考える訳です。一旦作っては修正します。そうこうしているうちに、自分が一体どんな想いを持っているのか、どんなことを考えているのかをうまく表現できるようになってきます。
また、あるときは頭に急に閃きます。「こういうことを言いたかったんだ!」というように突然閃きます。産みの苦しみはありますが、視座を高めたり、足りない事が見えるようになるんです。
自分を含め、あらゆる人にメリットがあるので、経営計画書を作成することは大きな意味を持ちます。
おわりに
経営計画書を作ったことがない社長には、ぜひ作成することをおすすめします。
作られていないとしたら、ご自身が思っている以上に社員は社長の想っていることや考えていることがわかりません。中長期的な観点については尚更です。
例えば「オレの(私の)言っていること、分かるよね?」「オレの(私の)想い、分かってくれるよね?」と社員に聞いてみてたら、社員はなんと答えるでしょうか。
「いえ、よくわからないです」「言われたことないですし、どこにも描かれていないので分かりません」なんてはっきり言える社員はほとんどいないと思います。さすがに言えないですよね。
例えば、「社長はこんな想いだったのか」「社長はこんなことを目指しているのか」という風に理解した社員と、さきほどの「分かりません」な社員、どちらの方が活躍してくれるでしょうか。
私は理解した社員だと思います。
人数が少なければ少ないほど、一丸となる、同じ方向を向く、という事がとても大事です。
作成されたことがないなら、一度作ってみることをおすすめします。