コミュニケーションの種類
試算表を毎月作成していますか?
その試算表、毎月でなくとも定期的に銀行員に渡していますか?
試算表を渡すとき、その内容について伝えていますか?
試算表の内容を踏まえて、今後の展望を伝えていますか?
事業内容や商品・製品の特徴、他社との違い(違いは対して無い、ということも実は大事)を知ってもらおうとしていますか?
銀行員とのコミュニケーションで大事な点は2つ。
①数字を交えたコミュニケーション
②自社の理解を深めてもらうための数字以外のコミュニケーション
この2つがポイントです。
こんな風に思っているなら、要注意です。
「あまり何も伝えなくても、言われた必要書類を渡したら、いつもうまくやってくれるから」
この考えをしている経営者の会社は、特に業績が悪化して「融資を受けたい」と思ったとき、とんでもなく苦労する可能性が高まります。
数字を交えたコミュニケーションとは
試算表を定期的に銀行員に渡して、それについての内容や振り返り、今後の展望を伝えるということを続けるのはとても大事です。
目的は、「この社長は数字を把握しているな」と思わせること、です。
もちろん、銀行云々の前に会社の数字を把握していることが大事なことは言うまでもありません。
それを伝えることが大事です。
例えば、あなたが銀行員だったとします。
①お金が必要なときになったら「貸してくれ」と言ってくるが、それまでの状況がわからない。
②お金が必要でないときでも試算表を交えて状況を伝えてくれている。
どちらの社長の方が融資がしやすいか。明らかに②の社長です。
「売上が去年の同じ月と比べて増えている(減っている)のは◯◯が理由」
「◯◯費は直近で大きく増えているのは□□が理由で、2ヶ月後には元に戻る」
こんな話を定期的に聞いている取引先なら、融資の依頼があったときには当然動きやすいです。
相手が求めてこないから、とおっしゃる社長もいらっしゃいますが、むしろ「こちらから仕掛ける」くらいの意識でちょうど良いです。
担当者が若くて経験が少ない場合は特に大事です。「担当者を育てる」ということが自社のリスクを下げることにも繋がります。
経験の浅い担当者は、社内で上司から聞かれます。「今日A社に行ったみたいだけど、業績はどんな感じ?」
このとき、多くの若手担当者はこんな風に答えます。
「順調みたいです。」
「売上が上がっていると社長が言っていました。」
正直、「?」しかありません。
何をもって順調なのか。何が順調なのか。売上が上がった要因は?どれくらい上がっている?それに伴って資金状況に変化は?
売上が上がっているとして、利益の状況は?
こんなやりとりを担当者が社内でしないようにする、教育する、というように考えてみてはいかがでしょうか。
数字以外のコミュニケーションとは
銀行員との面談は世間話が中心。そんなことになっていませんか?
相手(銀行員)はあなたの会社の事業について、当然素人です。
たしかに、引継ぎで資料を読んではいますが、そもそもそれまでの銀行への情報提供の量が少なければ、なんとなくでしか理解できません。
これは、前の担当者がしっかり聞き取りができていなかったことが要因の場合もあります。
商品・製品・サービスについて、顧客から評価を受けている点は?
競合と比べて何が違う?
他の企業と比べて大きな差がないのに、なぜ受注が確保できる?
みたいなことについて、担当者としっかり話をしてもらえればと思います。
例えば、「ウチの会社は小回りが効く」というフレーズを使われる社長にたくさんお会いしてきました。
小回りの定義は何なのか。誰にとって小回りが効くのか。その小回りとは相手の何に対して重宝がられるのか。
競合と比べて何が評価されているのか。
みたいな情報がどれだけ銀行側で保有しているかがとても大事です。
なぜか。
銀行は数字を見て判断する、というのはその通りですが、本当に数字だけみて融資をするかしないかを決めているのであれば、借りられない会社はもっと増えます。
銀行では、ギリギリのところを社内交渉しているとき、数字の話はとっくに終わっていて、数字以外の話を元に融資を出すか出さないかを決めます。
この点は、銀行の規模等によっては「無理なものは無理」となるのもまた事実ですが、ギリギリの交渉になればなるほど、数字以外の情報の重要度が増します。
まとめ
自社の商品を販売するとき、プレゼンテーションをされると思います。
銀行に対してのプレゼンテーションはされていますか?
売上が入金されるとお金は増えます。それは、営業活動の賜物です。
では、銀行から融資を受けるときはどうでしょう。
これも同じく、お金は増えます。
ならば、銀行に対しても営業活動をする、プレゼンテーションをするということは同じように大事なのではないでしょうか。
お金に色はありません。であれば、取引先や新規開拓したい先にプレゼンをすることと、銀行に対してプレゼンをすることに優劣の差は無いはずです。
銀行と上手に付き合うことで、事業を円滑に運営し、成長に繋げることができます。
「上手に付き合う」とは何か。
ここで書いたもの以外にもありますが、今回の内容は特に重要なことです。
参考になれば幸いです。
「担当者を育てる」ということを書きましたが、こちらの記事にも関連することになります。
ぜひ、ご覧ください。