採用を成功させたい。こんな風に誰もが思うでしょう。
ただ、求人票は他社と比べても変わり映えがなく、求職者から見ればどう選んだら良いのかわからない。
求める人材を考えて、それを書きだしてみたら、スーパーマンを欲しがっていることになっている。
コミュニケーション能力が高くて、ストレス耐性があって、論理的思考能力があって、◯◯があって、△△な人がほしい。
こんなとき、まず最初に考えていただけたら。今回はそんなお話。
どこに何を釣りにいくのか
昔、テレビで某有名人が大海原に出て、カジキマグロを釣るという番組がありました。
カジキマグロは海にいるから、海に行ったのでしょう。まさか、近所の川に行ってカジキマグロを釣ろうとすることはないでしょう。
その昔、ブラックバス釣りが友人の間で流行ったとき、私も勤しみました。ただ、あまりハマることはありませんでした。
それでも、あそこのポイントにいそうだ、こんなときはこんな手を打ってみよう、次はあそこだ、といったようなことをしていました。
こんなことを考えながら、採用について考えてみると、思うことがあります。
採用のことを釣りに例えるのはどうか、とも思う一方でイメージしやすかったのが釣りだったからです。
採用市場という漁場にいったとして、どうするのか。
求職者が魚だとすれば、エサの選択は訴求ポイント、つまり何を求職者に訴えるのか、何で興味を持ってもらうのか、といったことになります。
そして、求職者との接点はどこなのか。漁場の中で釣りをする場所、にあたります。
このように考えたとき、訴求ポイントや求職者接点を設定する必要があります。
ここで、採用を取り巻く環境はどんな状況なのか、今後どんな状況になっていくのかを見てみましょう。
採用を考えるときにおさえておきたい状況
これからは間違いなく採用が難しくなっていきます。
答えは単純で、働く人が減っていくからです。特に、若い人材を採用しようとすれば難易度は上がります。
人手不足という言葉が頻繁に登場していますが、生産年齢人口(15歳〜64歳)は1990年代をピークに減少し続けています。
そして、人手不足に対して、以下のようなことで働く人を増やそうとしています。
・働く女性を増やす
・働くシニアを増やす
・働く外国人を増やす
これでも足りないから、生産性を上げることで人手不足に対処しようということも考えられています。
パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」によれば、2030年に644万人の不足が生じるとのことですが、この不足に対応する対策として先の3つに労働生産性を上げることを加えた4つの対策が書かれています。
そして、644万人の不足に対して、先の3つでは到底足りず、生産性を上げることで298万人分をカバーするという方法しか考えられない、ということが書かれています。
(参考:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030)
働く外国人を増やすと言っても、2030年には多くの国で労働力不足が発生します。アジアでは中国は▲3%、インドは1%増、インドネシアは0%。これをみたら、近くのアジア圏の国は自国の労働力が不足もしくは現状から伸びない状況で、一体どこから働く外国人が来てくれるのか、とさえ思います。
また、廃業の理由に人手不足が入り、金融機関は人材ビジネスにこぞって進出しています。
さらには、有効求人倍率を見れば1倍程度ですが、こと300人未満の企業で見れば5倍を超えています。
このような環境下で、求める人材はスーパーマン、求人票は他社と大差なく、訴求ポイントが設定されていない、というままで良いはずがありません。
どんなコンセプトで採用に臨むのか
コンセプトがないから、ほしい人材はスーパーマン、みたいなことが起こってしまいます。
大企業なら多くの人が応募する。でも、中小企業ではそうはいかない。でも、その中で採用していかないといけない。そして、ただ採用するだけではなくて、ほしい人材を採用したい。
であれば、コンセプトを作らないと成功の確率は低いままです。
そんなとき、こんな観点で考えてみてはいかがでしょうか。
・採用についてのポジションを決める
・どんな要素を持つ人を採用するのかを決める
・求職者の具体像を決める
・訴求ポイントを決める
このような観点から、自社の採用コンセプトを設定していきます。
コンセプトを設定(関連記事:採用施策の土台づくり〜コンセプト設定)することで、自社のほしい人材が明確になり、ほしい人材にアピールする内容が決まります。
ここが設定されていないと、求職者があなたの会社を選べないのです。
終わりに
採用環境は今後ますます厳しくなっていきます。
職場環境や人間関係に課題があると社員が定着せず退職してしまう、ということもありますが、そもそも自社に合う人を採用できていない、という課題に行き着きます。
にもかかわらず、自社に合う人がどんな人かが設定されていなかったり、言葉にされていなかったりします。
いかに採用の成功確率を上げるか。それは、売上や利益をどう増やすか、と同じくらい重要です。
そもそも売上も利益も人が動いた結果であることを考えれば、企業が存続するため・成長するためには採用を成功させることが欠かせない、とも言えます。
そう考えると、採用をどんなコンセプトで行なっていくのかを考えることは、とても重要なことだと言えます。
今回の記事が経営の一助になれば、幸いです。